YUKI FUJISAWA

    flowered    

flowered

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ネットサーフィンで見つけた画像や外国の蚤の市で購入した古写真から、まずインスピレーションを得た。
そこに映るモチーフは主に人物や草花など時間の経過が著しいものである。
生活感のにおいを写真から感じる時、私は誰かの過去や記憶を追体験するような生々しい感覚を覚える。
しかし彼らは時が止まったままである。
老いることも枯れることもない。美しく綺麗なまま永遠の命を画面の中だけで手に入れる。

花はひと時しか生きられない儚さ、強さ、それに置かれる長い時間をうつしだす象徴的な存在である。
そんな花を仮死状態にする「ドライフラワー」という技法は、花に半永久的な美しさ(命)を与える、
ある種の畏怖とも思しき行為である。
それは写真の中に映る永遠に年をとらない少女たちのようであり、画面上で風化せずに咲き誇る草花の姿と重なる。

自分のフィールドワークにより集めてきた草花をドライフラワー化し、写真を撮り溜めた。
布には知らない誰かの写真と、私自身の写真、そこに奉られている花々の美しかった瞬間の写真がプリントしてある。
それらは全てある一地点の瞬間であり、今にはもう無い場所である。

目前に見える画像(触れられない存在/過去)、奥に見える花々(実体的存在/過去から現在)、
そして自分(現在から未来、いつか必ず朽ちる存在)。

時間は絶えず流れ、人はいつか死ぬ。
当然でいて忘れているそのことを改めて見つめる時間を、鑑賞者は空間の中で体感する。

【 flowered 】 / 2012

size : W200×H6220×D200
technique : transfer print, dyeing
material : polyester tulle, dryflower

photo by Wataru Yamamoto

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