シースルー
2013.3.1 - 3.12
@ ROCKET 東京都渋谷区神宮前6-9-6
本展ではROCKETという空間をひとつの ’ home ’ として見立て、五人のミューズの私生活をインスピレーションに手作業によるテキスタイルからなる衣服や小物を発表致します。
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この不安定な日本で何を信じればいいのか、近頃は食べ物や生活のこと、制作や好きな人のことなどおよそ自分の身の回りのことしか考えられず、幸せになりたいと毎日思ってしまいます。 毎日作ることを考え、恋人や友達に会ったり、会社で働き、学校へ行く。毎日はとても忙しく楽しいです。猫のお世話も毎日しなきゃいけないし、三食ご飯を食べないとお腹がすくし、当たり前に生きることはすごく大変で忙しいのだと、二十三歳にして初めて思いました。
そんなことを考えていた時、この制作が始まりました。ちょうど卒業制作では家族をテーマにとてもパーソナルな制作をしていたのもあり、個展では自分の為よりも誰かの為に、まずは周りに居る好きな女の子達の為に、何かを作ろうと考えました。
ミューズたちには、インスタントカメラと二十ほどの質問を送りました。目的は身の回りのものを撮ってもらいどのような生活を送っているのかを知ること。とても普遍的な質問に答えてもらうこと、例えば愛おしく思うものは何か、何に対して怒りや悲しみを感じるのかなど。できるだけ正直に答えてほしいとお願いし、一枚一枚手書きの質問を送りました。 答えはとても様々で、それに励まされることも気付かされることもありました。
その中で、印象的だった一人のミューズの答えに書いてあった言葉が、
「 毎日毎日生きて この歳まで生きて 今までの自分の人生が愛おしいのかもしれない 」
自分が考えていたこと ー 先よりも今この毎日を生きるのに精一杯で、それがいいのか悪いのかも分からない状態、だけどその毎日をすごく大事に思うし、大事にしたいと思う気持ちがあること。もしかしたら私もあの子も、同じようなことを考えていたのかもしれないと気が付きました。
個人的な問題を突き詰めたところにあるのは、実はみんなも同じような気持ちがあるということ、それに気が付くことは勇気でもあり、励ましでもあります。
展示してある新作はミューズのためのものですが、これらは来て下さる方のために、受注というかたちで色や柄を変え、オーダー制作を致します。その人とお話しをながら、その人だけの色や柄などを決めて制作に入ります。
muse for mika
【 only your’s velvet coat 】
/ 表地 :velvet silk20%,rayon80%
/ 裏地 :cupro100%
/ 紐 :assortment
/ 裾部分 :silvery-white foil printing
・all hand brush dyeing
・all hand printing
・choose your color and textile pattern
muse for minori
【 see-through tops " 白無垢 " 】
/ 身頃 :silk100%
/ 腕部分 :silk20%,cotton80%
・all hand brush dyeing
・choose your color
muse for tomoko
【 tmsowacl PC case 】
/ 表地 :polyester100%
/ 裏地 :assortment
・size for ipad,13inch,15inch
・all hand quilting
illustration by tomoko oshima
muse for ancco
【 あんこちゃん泣いてもいいよピロー 】
/ 表地 :silk100%
/ 中綿 :cotton100%
・hand brush dyeing
muse for fumika
【 きらめき諦めないで スウエット 】
・remake old clothes
・all hand printing
illustration by tomoko oshima
muse for mika
【 She sells sea shells bag 】
/ 表地 :silk100%
/ 中生地 :polyester100%
・remake old japanese items
・hand brush dyein
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誰かにとってのかけがえの無い存在になれるように、心をこめてものを作ること、
それが私にとっての今の大事な生き方なのではないかと 「シースルー」を経て、思い始めたところです。
とてもパーソナルな視点から作られた、誰かのための衣服や日常に寄り添うものたちが まだみぬ誰かへ、
それがあることで心の支えになりますようにと 願いをこめて。
2013/3/1 YUKI FUJISAWA
Photo : Wataru Yamamoto
DM graphic design : Maki Kobayashi